「金のいぶき」の完成には、人知を超えた運命と
それを引っ張る人の存在が不可欠でした。宮城県古川農業試験場では、1年間に10万個体が作られます。そこから品種に育つのは、3~4年にひとつ。
宝くじにあたるよりも、品種まで育つほうが難しいと言われることもあります。
そんな中で誕生した玄米食向け品種である「金のいぶき」は、もともと発芽玄米の食味をよくするにはどうしたらいいだろう?
という発想が始まりでした。
でんぷんであるアミロースを少なくすれば粘りのある柔らかい米になるだろうということが、これまでの経験からわかっていましたので、まずは低アミロースが条件でした。
そして、GABA等の栄養素を増やすために胚芽を大きくする。お米を炊くとき、胚芽から吸水するので、巨大胚芽であれば炊きやすさも実現できるだろうという目論見もありました。
ただ、低アミロースと巨大胚芽の組み合わせだけでおいしいお米ができるかというと、そうでもないんです。
この「金のいぶき」の完成には、人知を超えたいろいろな運命と、そしてそれを引っ張っていってくれる人たちの存在が欠かせませんでした。-
宮城県古川農業試験場
場長 永野 邦明
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分析機器で低アミロース米を選抜
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試験的に始めた「金のいぶき」の栽培も震災のあった年、石巻市旧河北町の休耕田で何か植えるものを探しているときに、私たちが試験作付けを希望していて、そのマッチングがうまくいきました。
結果、津波をかぶった田んぼでも、「金のいぶき」はすくすくと育っていきました。
今後、「金のいぶき」を通して、より多くの皆さんに玄米のおいしさを知っていただき、いずれは学校給食などでも出されるようになればうれしいです。